ネジに使われる主な材質の種類と特徴・ねじの表面加工の種類
ねじは建築材料から自動車、精密機械などあらゆる工業製品に使われます。
製品に合った素材のネジを使うことで、製品の精度を高めたり、安全に使用することができます。
この記事では、ねじ製造に使われる主な金属材料の種類と特徴について解説します。
鉄鋼材
鉄は比較的安価で加工が容易であるという特徴があります。
代表的なものは炭素鋼ですが、そのほかにもいくつかの種類が存在します。
炭素鋼
炭素鋼とは鉄に炭素を混ぜた合金で、一般的に鉄鋼材料と呼ばれるものは炭素鋼を指しています。
炭素が0.03~1.7%含まれているものを純鉄、鋼と呼び、1.7%以上含まれているものを銑鉄と呼びます。
炭素量を増すことで硬く優れた摩耗性を発揮しますが、一方で、割れやすさや錆びやすさなどの短所も持っています。
また、熱処理をすることで硬さや粘りを出すことができます。
【炭素鋼の種類と用途】
名称 記号 用途
軟鋼線材 SWRM 釘、リベット、割りピン
硬鋼線材 SWRH バネ座金
冷間圧造用炭素鋼線. SWCH 小ねじ、ボルト、ナット、タッピンねじ
機械構造用炭素鋼 S**C ナット、ワッシャー
機械構造用合金鋼 SCM キャップ、高力ボルト
冷間圧延鋼 SPCC 平座金
軟鋼
炭素鋼の中でも炭素量が0.2~0.3%程度の比較的柔らかい性質を持った鋼です。
金網や書類とじ器などに使用されます。
硬鋼
炭素量が0.5~0.8%の炭素鋼です。
硬さと耐摩耗性に優れています。
ニッケルクロム
炭素鋼にニッケルとクロムを添加した合金鋼です。
強度区分
ネジの強度を示す基準として、ボルトの場合、「強度区分」が用いられます。
強度区分はボルトの頭に数字で刻印されており、「.」で区切った左右の数字で強度を示しています。
ステンレス
鉄に12%以上のクロムを含有させることで錆びにくい材質になっているのがステンレスです。
錆びにくいため、水がかかる環境で多く採用されます。
建設物では外装部材、家電では洗濯機の部材など、幅広く使われています。
ステンレスねじにはかじりや焼き付きが起こりやすいというデメリットもあります。
これは、特にオーステナイト系でよく起こります。
ステンレスは「オーステナイト系」「フェライト系」「マルテンサイト系」に分けられます。
オーステナイト系
ステンレスの中でも高耐食性、耐薬品性、強靭性に優れ、非磁性であり、ねじ部品の約80%がオーステナイト系で作られています。
フェライト系
耐食性はマルテンサイト系よりも優れており、磁性、耐熱性があります。
マルテンサイト系
耐摩耗性製品に多く使われます。
一方もろく、耐食性がほかの鋼種に比べて劣ります。
真鍮
真鍮(黄銅)は銅と亜鉛の合金で特に亜鉛が20%以上のものを指します。
導電性に優れているのが特徴です。
真鍮ねじは、電気部品の端子止めなどによく使用されます。
内部端子に使う場合は表面処理をしてさらに性能をアップさせます。
アルミ
アルミねじは軽量でありながら強度の弱さから利用される用途は限られてきました。
しかし、リサイクル需要も高まり、アルミ製のユニット製品はアルミ製のネジを用いてリサイクルに利用できるような製品が求められたり、省エネのための軽量化のために重要な役割を担っています。
アルミねじはホビー関連の軽量化のためによく利用され、無線操縦装置、ロボット、自転車、アウトドア用品などに使用されています。
チタン
チタンは軽量で、非強度が高く非磁性であり、耐食性、耐熱性、耐寒性、耐疲労性、耐摩耗性に優れた理想的な金属材料です。
航空、宇宙産業、石油、化学プラント、電力プラント等を中心に使用されています。
チタンは金属アレルギーを起こしにくいという特徴もあり、医療分野でも欠かせない材料となっています。
樹脂
樹脂製のねじは主に、ユリヤ、ポリアセ、ナイロン、塩ビ、ポリカーボネート、レニー等があります。
一般的に樹脂製ねじは全体が単一材料で成形されていますが、ユリヤは金属製のネジ部とユリヤ樹脂の頭部が組み合わっています。
鉄等の金属材料に比べ、軽量で耐薬品性、絶縁性に優れ、磁性を帯びません。
ねじの表面処理の種類
ねじの表面処理にはさまざまな種類があります。
表面処理の方法によって見た目や耐腐食性などが変わってきます。
電気メッキ
電気メッキは電界溶液の中に入れたボルトやナットなどを通電し、表面をメッキで覆われるように処理します。
電気メッキは装飾以外にも防錆や部材の表面を硬化させるなど、いろいろな特性を持たせることができます。
電気メッキには銅メッキ、ニッケルメッキ、黒色ニッケルメッキ、クロムメッキ、工業用硬質クロムメッキ、亜鉛メッキ、金メッキ、銀メッキなどがあります。
無電解メッキ
無電解メッキは電気を使用したメッキです。
プラスチックやセラミックなどの不導体素材でもメッキ液に浸すことで均一な金属皮膜を得ることができます。
無電解メッキは自動車のブレーキ部品やプリント基板、電子部品などに用いられています。
無電解メッキには硫酸銅駅の中に鉄板を浸すことで銅皮膜を得られる置換メッキと、糖類やホルムアルデヒドを加えた銀-アンモニア溶液の中にガラスを浸すことで発生する銀鏡反応があります。
溶融メッキ
溶融メッキは溶かしたアルミや錫の中に部材を入れて付着させる方法で、厚いメッキ層が発生し、高い防錆力が発揮されることからコストパフォーマンスが高いメッキとなっており、屋外金物やボルトに採用されることが多いメッキです。
化成処理
化成処理は金属を特殊な溶液に浸して表面に金属塩皮膜を発生させる方法です。
化成処理の方法にはクロメート処理と黒染めの主に2種類があり、熱放射版や装置部品、自動車部品などに使用されます。
ねじ用途によって適切な材料が変わる
ねじは使用する金属材料によりその特徴やメリット、デメリットも変わってきます。
ねじ1つで製品のクオリティに大きく影響しますので、製造の際には十分な検討が必要です。
し、適切なねじの素材が不明の場合は、オーダーを依頼する金属加工会社に相談すると安心です。
東京都西多摩郡の金属加工は株式会社有利精工に お任せください
会社名:株式会社有利精工
住所:〒190-1211 東京都西多摩郡瑞穂町大字石畑175-1
TEL:042-568-7860 ※セールス・勧誘お断り
FAX:042-568-7286
営業時間:8:00~17:00 定休日:日曜・祝日
対応エリア:東京都西多摩郡
業務内容:金属加工