ネジの特注の流れとオーダーメイドするときに知っておきたいねじの種類

ネジは小さな部品ですが、1本ないだけで機能しないこともある重要な部品です。
市販のねじを探したものの合うものが見つからなかった、という場合もあるでしょう。

この記事では、ねじの特注（オーダーメイド）の流れやねじの種類について解説します。

このような方にはオーダーメイドがおすすめ

以下のような場合はねじの特注がおすすめです。

・ねじを紛失してしまい予備がない
・市販ではほしいねじが見つからなかった
・ねじを小ロットで注文したい
・手元にあるねじと同等の製品を探している
・規格品ねじの一部だけ変更したものが欲しい
・現在の発注先に注文できなくなってしまい、新たな発注先を探している
・軽量化やコストカットなどを相談したい

特注ねじの注文の流れ

特注ねじの注文から納品までの流れは以下となります。

お問い合わせ

メールフォームやTEL、FAXなどで問い合わせをします。

図面がなくても相談することが可能ですが、お問い合わせの際、
・材質
・規格
・ねじの種類（ボルト、ナット、タッピング、寸切、片ねじ　等）
・ねじの頭の形（鍋、皿、平、六角穴付き　等）
・サイズ（径、長さ、ねじ部寸法、ねじのピッチ　等）
・表面処理の種類（ユニクロ、三価クロメート、ディスゴ　等）
・使用箇所
・ねじ部先端の形状
・数量
・加工方法（圧造、切削、鍛造　等）
・その他要望

などを記載するとスムーズです。

打ち合わせ・見積もり

業者からの提案と見積もりがあります。
提案に対して修正などを行います。

さらに、梱包、納品方法についても打ち合わせを行います。

発注

打ち合わせ、見積もりの内容に納得したら契約、発注となります。
メーカーがねじの製作を行います。

検査

不良品がないか、メーカーで製品をチェックします。

納品

期日内に指定の場所に納品します。

ねじ・ボルト・ビスの違い

ネジ

円筒形の細い棒にらせん状の溝が切られているものの総称を指します。
外側に溝があるものを「おねじ（雄ネジ）」、内側に溝が入っているものを「めねじ（雌ネジ）」と呼びます。

ボルト

ネジの一種で、一般的に8mm以上の大きめの雄ネジを指します。
雌ネジ（ナット）とセットで使われることもあります。
頭が六角または四角形のタイプが多くあります。

六角ボルトはプラスやマイナスのねじと違い、締め付けときの力が伝わりやすく強いトルクで締め上げることができます。

ビス

一般的に小さな雄ネジを指します。
サイズは1～8mmで、頭がプラスやマイナスの切り込みがあります。
木ネジと呼ばれるナットを使わずに締めるタイプもあります。

ねじの種類

ねじにはいくつかの種類があります。
注文するときに名前を知っていると伝わりやりやすくなります。

・皿小ネジ
皿もみが施してある部材を止めるネジで十字穴（+）またはすりわり付（-）があります。
頭が平らで部材から頭が出ません。

・丸皿小ネジ
皿もみが施してある部材に使用するねじで、頭の部分に丸みがあります。

・ナベ小ネジ
頭がナベ頭になっている小ネジで、十字穴付とすりわり付があります。

・トラス小ネジ
ナベ頭より頭部が大きく丸みを帯びており、装飾用として使用されることもあります。

・バインド小ネジ
頭の部分が台形で、台の上がナベ型になっています。

ねじの材質

ねじにはさまざまな金属が使用されており、腐食性や耐久性・価格面で違いがあります。
ねじに広く使われている材料は以下の通りです。

・炭素鋼
・合金鋼
・ステンレス鋼
・銅・銅合金
・アルミニウム合金
・チタン、チタン合金
・ニッケル合金
・POM（樹脂）
・PPS（樹脂）
・PTFE（樹脂）
・PEEK（樹脂）

並目と細目の違い

ネジには並目と細目があり、ネジ山の間隔が狭くネジ山の数が多い方が細目ネジです。

広く一般的に使用されるねじはほとんどが並目ねじで、特別な場合以外は細目ネジは使われません。

細目ネジは耐力が高く精密な調整が可能なため、振動が多いエアポンプの緩み防止やマイクロメーターのように微調整が必要なつまみなどに使用されています。

熱処理・表面コーティングの種類

熱処理

熱処理は金属を熱し、冷やし方の条件を変えることで金属を硬くしたり柔らかくしたり、さらには金属の性質を変化させる処理です。

・焼き入れ焼き戻し…鋼のじん性や耐摩耗性の向上
・固溶化処理…ステンレスの耐食性、耐熱性、じん性、延性の向上

表面熱処理

表面熱処理は金属材料の内部はそのまま、表面のみの性質を変化させる熱処理のことを言います。

・浸炭処理…鋼の表面は耐摩耗性が向上しつつも内部はじん性を保持できる
・窒化処理…鋼の表面硬度を向上、熱変化しにくくする
・高周波焼き入れ…鋼の表面硬度を向上させる、焼き入れ深さを調整することができる

表面処理（コーティング）

表面コーティングは金属表面に被膜や表面改質層を形成し、新しい性質や機能を付加する処理です。

・亜鉛メッキ…環境に対応しつつ耐食性を向上させる
・ニッケルメッキ…耐食性と耐摩耗性の向上
・クロムメッキ…耐食性と耐摩耗性の向上
・無電解ニッケル…耐食性と耐摩耗性の向上
・黒染め処理…防錆と着色
・ステンレス黒染め…意匠性の向上
・パシペート処理…ステンレスの防錆
・バフ、バレル、電解研磨…鏡面研磨
・アルマイト処理…アルミニウム・チタンの着色と防食性向上
・硬質アルマイト…アルミニウムの耐摩耗性向上
・二硫化モリブデン…摩耗係数低減、摺動性の向上、焼き付き防止
・頭部塗装…ねじ頭の塗装
・フッ素コーティング…かじり、焼き付き防止
・ゆるみ止めコーティング…ねじのゆるみ止め
・シールコーティング…液漏れ防止
・焼き付き防止コーティング…焼き付き防止