ネジ製作の中でも難易度の高いめねじ加工の方法と種類
ネジ切り加工にはいくつかの種類があり、代表的な加工法はねじ切りバイトによる旋盤加工や専用加工機によるねじ成形、タップやダイスによる成形です。
外径を削っていくおねじ切りは加工しながら様子を確認することができるため、難易度は高くありませんが、様子を確認できないめねじ切りは難易度の高い加工です。
この記事ではめねじ加工の製作方法や種類について解説します。
おねじとめねじの違い
ねじとは
ねじは円筒や円錐の外面または内面にらせん状の突起をつけたもので、これを組み合わせることで部品を固定したり、運動させることができます。
回転させて物どうしを結合させるため、縦方向に抜けにくいというメリットがあります。
また、ねじには金属や樹脂などの素材やサイズなどの種類が多数あり、それぞれJISによって詳細に規格化されています。
おねじとめねじの違い
おねじ(雄ネジ)とめねじ(雌ネジ)はJISでは以下のように記述されています。
・おねじ…ねじ山が円筒形または円錐の外面にあるねじのこと
・めねじ…ねじ山が円筒形または円錐の内面にあるねじのこと
ねじはおねじ同士やめねじ同士での接続はできずに、おねじとめねじの組み合わせで接続が可能です。
ボルトとナット
ボルトとナットでいえばボルトがおねじ、ナットがめねじです。
ボルトは頭付きの側面にらせん状の溝が付いている工具で、多くの場合、先端が平になっています。
また、基本的には小さいものでも8mm以上のサイズのものとなります。
ナットはドーナツのような形をしており、内側にギザギザとした溝がついています。
日常生活の中では六角形の形をした六角ナットを目にする機会が多くあります。
ボルトの先端はナットと組み合わせて締め付けるため、ボルトとナットはセットで販売されていることが多くあります。
めねじ加工の種類
めねじ加工にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴があります。
ここでは代表的なめねじ加工の種類をご紹介します。
タップによる切削加工
タップと呼ばれる工具を使用してめねじを作る加工方法です。
タップ加工は「タップを立てる」「タップを切る」「ねじ切り」など、さまざまな呼び方があります。
やり方を簡単にいえば下穴をあけてねじを切る、というシンプルな方法です。
ねじの規格に沿ってタップが作られているため、加工時に手間がかかりません。
切削タップにはハンドタップ、ポイントタップ、スパイラルタップ、管用タップなど、複数の種類があり、種類によって形状や機能、用途が異なるため、適切に使い分けることが必要です。
めねじ加工の中でも最も一般的である一方で、切削の際に切り屑が出るというデメリットもあります。
盛上げタップによる転造加工
盛上タップは通常のタップとは異なり、母材を塑性変形させてめねじを転造加工します。
切削加工ではないので、切り屑が出ないのがメリットです。
旋削加工
旋削加工は旋盤で削る加工です。
めねじを加工する場合、「めねじ切りバイト」という工具を使用して加工します。
旋削加工によるめねじ加工はバイトを穴の中に入れることが出来れば、切削の深さやピッチといった条件を変更するだけであらゆるサイズのねじを加工することができます。
タップのようにねじごとに工具を変える必要がない点がメリットで、大きいめねじを加工する際に利用することが多い方法です。
旋削加工は加工中のバイトの様子を確認することができないため、旋盤に搭載されている自動送り機能を利用して加工を行います。
フライス加工
スレッドミルをフライス盤にセットし、下穴の側面を切削してめねじ加工をします。
フライス加工では下穴に形成するねじのサイズよりも細いスレッドミルを挿入し、下穴の側面に押し当てるようにして切削しながらめねじを形成します。
フライス加工のメリットは同じピッチであれば1本のスレッドミルで複数のねじサイズ、さらには右ねじ左ねじの加工が可能である点です。
放電加工
放電加工は工具などで削るのではなく、電気の力を利用してめねじを加工する方法です。
放電加工機にねじの形をした電極をセットし、油を張った水槽の中に放電し、放電の熱により母材を溶かしながらめねじ加工を行います。
電気を通す材料であれば、焼き入れ後の硬い材料でも加工が可能な点がメリットです。
一方で加工速度が遅く、歩留りが悪く、コストも高くなります。
めねじの加工方法
めねじ加工の手順は
①穴の位置を決める
②キリ(ドリル)で下穴をあける
③タップに切り替える
④タップの軸芯とキリ穴の軸芯を合わせる
⑤タップを切る
となります。
少し詳しく見ていきましょう。
①穴の位置を決める
全自動の機械で加工する際はマシニングセンタに穴の位置を設定して穴をあけます。
手動の場合、金属の場合は罫書きで印をつけます。
さらに加工時に穴の位置がずれないようにポンチを打ち、表面を少しへこませます。
②キリ(ドリル)で下穴をあける
キリというドリルで下穴をあけます。
下穴はタップの精度に大きく影響するため、穴の角度と位置には注意して加工する必要があります。
また、穴の大きさはめねじの呼びごとに穴のサイズの目安は決まっています。
穴のサイズの目安を守ってあけるとタップの軸芯がずれにくく、綺麗に加工することができます。
③タップに切り替える
工具をドリルからタップに切り替えます。
④タップの軸芯とキリ穴の軸芯を合わせる
下穴の軸芯とタップの軸芯を合わせ、位置や角度をしっかりと確認してからタップを切っていきます。
タップは入口の部分が重要となり、入口がずれると修正ができなくなります。
そのため、この手順は慎重に行います。
⑤タップを切る
タップには切削油を塗りながら行います。
切削油は刃をスムーズに切り込ませたり刃の目詰まりを防止する役割があります。
手動でタップを切る場合、固くなってきたらタップを戻し、少し切るという動作を繰り返して加工します。
めねじの加工方法はさまざま
めねじの加工方法の種類、めねじ製作の方法についてご紹介しました。
めねじ加工はおねじ加工に比べて繊細で難しいことが多いのが特徴です。
ねじ製作会社では、素材や用途に合わせて適切な加工方法を選んでめねじの加工を行い特殊な製品にも対応しています。
ねじの注文や相談の際は加工方法を少し知っておくと完成までのイメージをしやすいかと思います。
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