自動車のマフラーなどに使用されるフランジとは?フランジの製作方法
自動車のマフラーなどに使用されるフランジは、突起や鍔を意味する部材ですが、工業用語では2つの配管を繋げる継手を指します。
フランジは自動車だけでなく、電子部品や建築部材などさまざまなところに広く用いられています。
この記事ではフランジの加工方法やフランジが使用されているマフラーの製作方法などについて解説します。
そもそもフランジとは?
フランジとは一般的に円筒形や部材からはみ出すように出っ張った部分を指し、2つの配管を接続する鍔(つば)状の継手部分などのことです。
フランジは自動車やバイクのマフラーだけでなく、機械備品、電子部品、建築部材等、さまざまな分野で利用されており、用途にも幅があります。
フランジの導入例
自動車業界
マフラーなどの配管の継手の隙間を埋め、漏れを止める役割として利用したり、管や軸同士をつなぎ合わせる際やパイプやシャフトの端に設けられている鍔の部分に導入されています。
また、ホイールのタイヤが組付けられている部分にある外れ止めの鍔などにも使用されています。
建築業界
配管のパイプや弁などを繋ぐ部分に用いられる円盤、円盤と円筒を組み合わせた部品として使用されています。
鉄道業界
車輪がレール上を脱輪することなく安全に走行するために、車輪の外周に設けた出っ張りの部分に使用されています。
フランジがあることで、電車はレールに沿って進むことができます。
フランジの代表的な加工方法
機械部品に使われるフランジの加工方法は一般的に以下の3通りになります。
フランジの材料には、ステンレス、アルミ、真鍮、チタンといった材質がありますが、材料によって加工の難易度も変わります。
また、フランジだけを製造し、溶接で成形していくこともあります。
旋盤加工
旋盤を回転させたり工作物に当てることで外丸削り、面削り、中ぐり、穴あけ、突切り、ねじ切りなどの加工を行う方法です。
主に棒状の素材から円盤形のフランジを削り出す場合に採用される加工方法です。
旋盤加工による加工形状は連続的回転対称である必要があるため、複雑な形状のフランジでは旋盤加工の後マシニングセンタなどによる追加加工が必要となる場合があります。
切削加工
マシニングセンタなどを使用して、固定した工作物に直線運動または回転運動をする工具を当てて穴あけ、中ぐり、フライス削り、ねじ立て、リーマ仕上げなどの加工を行う加工方法です。
主に旋盤では加工が難しい角型のフランジの製作や、複雑形状の追加加工をする際に採用されます。
板金加工
板金加工でフランジを成形するには絞り加工と曲げ加工があります。
マフラーの構造
フランジについて解説してきましたが、自動車やバイクのマフラーはどのような構造になっており、フランジはどのように使用されているのでしょうか。
自動車のマフラーの構造を部品の役割と共に解説していきます。
エキゾーストマニホールド
マフラーの中でも最もエンジンに近い部分にエキゾーストマニホールドがあります。
各気筒から排気ガスを集め、NA車ではキャタライザーへ、ターボ車ではタービンへ送り込む役割を持っています。
エキゾーストマニホールドの形状が悪いと排気ガスの流れが悪くなってしまい、エンジン出力の低下を起こしてしまいます。
エキゾーストパイプ
エンジンから排出された排気ガスを外に導く役割をしています。
O2センサー
最近の車は「空燃フィードバック制御」を行っており、排気ガス中の酸素濃度を測りながら空気とガソリンのバランスを調整しています。
O2センサーは酸素量を測るセンサーで車の燃費向上効果を持っています。
サブマフラー
メインマフラーだけでは十分な消音効果が得られないため、これを補う役割をサブマフラーが行っています。
触媒(キャタライザー)
排気ガスには有害物質が含まれている為、触媒を利用して無害な成分に変換しています。
プリマフラー
サブマフラーで容量が不足する場合には、プリマフラーで対処します。
メインマフラー
「タイコ」「サイレンサー」とも呼ばれ、エンジンからの排気ガスの放出音を消音しています。
各マフラーメーカーにより、消音しながらも心地よい音になるように工夫がされています。
テールパイプ
冷却、消音、浄化された排気ガスを大気中に放出する機能があります。
消音機能としては、テールパイプの長さと口径によって共鳴特性が変化しますので、排気ガス流量に適したテールパイプの口径を選択する必要があります。
フランジ
フランジはマフラーのつなぎ目のことであり、ガスケットを挟んでガスの漏れを防ぎます。
フランジの形状は車種によって異なるため、フランジに適合したガスケットが必要です。
マフラー製造の流れ
マフラー製作の流れは一般的に以下のようになります。
1.鋼板切断
1枚の鋼板を必要なサイズにカットします。
2.鋼材切断
パイプを必要なサイズにカットします。
3.部品プレス
カットした材料を数回に分け、外皿、中皿、内筒部品に成形します。
4.鋼管曲げ加工
規格データをもとにパイプの曲げ加工をします。
5.外筒の加工
カットした板をマフラー本体のサイズに合わせて丸め、溶接します。
6.内筒部品組み立て
板やパイプを組み立て、本体内部の構造部分を組み立てます。
7.パイプ先端の加工
パイプの先端の拡縮管やバルジ加工、スエージング加工、カール加工などを行います。
8.本体の圧入
マフラー本体の外筒に内筒を圧入し、組み立て、溶接で止めます。
9.巻締加工
マフラー本体と外皿をかしめ、ふたを閉めます。
10.部品組付け
パイプにフランジを溶接するなどして小部品を製造します。
11.溶接仕上げ
マフラー本体と小部品を本付け溶接して製品を完成させます。
12.検査
製品にエアーを注入し、ピンホール、溶接穴などの不良がないか検査します。
13.塗装
検査に合格した製品を塗装します。
フランジ加工の方法はメーカーによりさまざま
フランジ加工の方法やマフラーの製作方法をご紹介しました。
フランジ加工の方法には旋盤加工、切削加工、板金加工があり、メーカーによって加工方法も異なりますし、取り扱っている材質・形状は異なり、品質や精度も変わってきます。
フランジ加工メーカーを探している場合はまずはメーカーに問い合わせをし、製作可能かどうか確認することが大切です。
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