フランジ加工(バーリング加工)とは?メリットとデメリット
金属板材を加工する方法の1つにフランジ加工(バーリング加工)があります。
フランジ加工は部品点数の削減やほかのパーツとの接合がしやすいなど、多くのメリットがあります。
ここでは、フランジ加工の特徴やメリット・デメリットについて解説します。
フランジ加工(バーリング加工)とは
フランジ加工はバーリング加工とも呼び、金属板に開けた穴の周囲に立ち上がり(フランジ)形状を作る加工方法です。
板金加工やプレス加工と同じく金属板に対して行われる塑性加工の一種でもあります。
加工方法は加工したい素材に下穴を開け、下穴よりもやや大きいバーリングパンチを押し込み下穴の縁を広げながら立て、フランジを作ります。
こうすることで下穴が広がり、同時にパンチに押されて穴周辺の材料が立ち上がります。
基本的には2工程ですが、下穴バリの面打ちなどを入れると3工程となります。
また、ピアスバーリングと言って穴抜きとバーリングパンチを一体化して複合パンチにし、1工程で加工する方法もあります。
下穴のみのときは薄板が平面だったのに対し、加工後には立体的な立ち上がりができるのが特徴です。
そのため、穴周辺が曲げに対して強くなる、という効果も期待できます。
フランジ加工は多くの場合、ねじ山を増やしたりピンやパイプをはめ込んだりする目的で採用されます。
薄板の場合ねじをはめ込む際の強度不足が懸念されるため、強度の補強を目的に使用されることもあります。
フランジ加工の種類
フランジ加工は下穴を開けたあと、下穴よりもわずかに大きいパンチを押し込み、縁の一部を伸ばしながら立ち上がりを作ります。
加工方法には「普通加工」と「しごき加工」の2種類があります。
普通加工
普通加工は材料の板厚と同じ寸法でクリアランスを取って加工する方法です。
フランジ加工では下穴を押し広げて材料の伸びを利用してフランジを成形し、バーリングの縁は伸ばされることにより板厚減少します。
一般的には元の板厚の70%くらいまで薄くなります。
しごき加工
しごき加工は板厚より小さいクリアランスを用いて加工する方法です。
普通加工ではフランジ部の厚さが先端に行くほど薄くなっていきますが、クリアランスを小さくすることで均一な厚さのフランジが作られます。
クリアランスは材料板厚の60~70%くらいが一般的です。
しごき加工はフランジ部の内径・外径の精度を高めることができ、フランジの高さをより高くすることができます。
これを利用して位置決めのダボやしめ用のピンとして活用することができます。
フランジ加工のメリット
フランジ加工のメリットには、工程の短縮、立ち上がりに汚れが付きにくい、品質向上、などが挙げられます。
工程の短縮が可能
穴あけ部分に立ち上がりを付けたい場合、溶接でフランジを付ける方法もあります。
しかし溶接の場合は溶接工程の発生に伴う製造工程の長期化や仕掛品の発生など一定のデメリットが生じます。
フランジ加工は溶接よりも工程を短縮することができ、コストを抑えることが可能です。
立ち上がりの付け根部分に汚れが溜まりにくい
溶接による立ち上げは母材と立ち上げ部の付け根に汚れが溜まりやすくなります。
フランジ加工は付け根部分がR状になりますので、汚れが溜まりにくいというメリットがあります。
加工品質の向上が可能
溶接によるフランジ接合は薄板と溶接の性質上、歪みが発生しやすくなります。
複数個所の立ち上げを要する場合はその分、溶接する箇所が増えますので、歪みが発生する可能性は高まります。
加えて歪みを取る処理にかかる作業が加わり、製造の長期化、製造コストの上昇につながる傾向があります。
フランジ加工は溶接することなく立ち上げ加工を施すことができますので歪みの発生リスクもなく、高品質な製品の製造が可能となります。
また、溶接方法によっては人の手が必要となりますが、フランジ加工ではプレス機を使って自動で立ち上げ作業を行うため、高速で高い品質の製品を製作することができます。
フランジ加工のデメリット
一方、フランジ加工のデメリットには、ねじの付け外しが多い場所には向かない、加工は硬い材料に限定される、という点が挙げられますので注意が必要です。
ねじの付け外しが多い場所には向かない
フランジ加工はねじの締結力を低コストでアップできる一方で、ねじの付け外しが多い場所には向いていません。
付け外しを繰り返しているうちにねじ山をつぶしてしまう恐れがあり、ねじ山がつぶれてしまうとねじが使えなくなってしまいます。
硬い材質に限られる
フランジ加工は材料の一部を伸ばして加工するため、アルミなどの柔らかい素材は向いていません。
加工は硬い素材に限られます。
金属加工の依頼時に用意しておく情報
金属加工の見積もりには次の情報が必要です。
見積金額に大きく関わってくるため、事前に情報を整理したうえで金属加工会社に問い合わせるとスムーズです。
図面
金属加工には、製品や部品の形状と大きさの情報が必要です。
2D図面のほか、3Dデータからも見積もりが可能です。
図面がない場合、手書きのイラストからでも形状と寸法が分かれば見積もりをしてもらえます。
また、ネジ1本など、製品の現物が手元にある場合、加工業者に見せれば製作できる場合もあります。
材質
どの素材で製作するかを指定します。
素材によって加工条件や加工費が大きく変わりますので重要な情報です。
決まっていない場合は加工業者と打ち合わせの上、最適な素材を決めていきます。
数量
製作する個数によって1個あたりの金額は変動するため、大まかにでも数を指定します。
数量が多いほど1個あたりの費用は安くなります。
納期
急ぎの場合は指定します。
納期も見積金額に大きく変わる要素です。
急ぎの場合は費用が高くなる傾向にあり、急がない部品は長納期で依頼してコストを抑えることも可能です。
フランジ加工はメリットの多い加工方法
フランジ加工は、製造業や配管などで幅広く活用されており、メリットの多い加工方法です。
フランジ加工を採用することで、工程の短縮やコストダウンを実現することができますので、希望の際には気軽に金属加工会社に相談してみると良いでしょう。
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