ネジの表面処理「メッキ」処理の種類と特徴について解説
ネジと一口に言ってもその大きさや形状には多くの種類があります。
さらに、ネジの素材や表面処理の方法にも多く種類があり、製品の用途によって使い分ける必要があります。
このページではネジの表面処理のうち、メッキ処理の主な種類と特徴をご紹介します。
ネジの表面処理の種類
ネジの表面処理の方法の種類
ネジの表面処理の方法には
・メッキ
・着色(ステンレス素材専用の表面処理)
・皮膜(コーティング)
・塗装・塗布
・緩み止め
があります。
これらの分類の中からさらに処理方法の種類により細かく分かれます。
ネジのメッキ処理方法の種類
【電気メッキ】
電界溶液中に入れた材料を通電することでメッキが表面に覆われる方法です。
【無電解メッキ】
無電解メッキは電気を使用しないメッキ処理です。
電気を通さないプラスチックやセラミックなども金属皮膜を施すことができます。
【溶融メッキ】
部材を溶かした錫やアルミ等の中に入れて付着させる方法です。
コストパフォーマンスに優れている点が特徴です。
メッキにも多数の種類がありますが、メッキの種類の主なものとして以下のような種類が挙げられます。
ユニクロ
亜鉛メッキ後の光沢クロメートのことで、ネジ等に最も広く流通しているメッキとなります。
処理液等の要因でシルバーから青みがかった色をしているのが特徴です。
クロメート皮膜は六価クロムの含有率が稀少なため耐食性はクロメートよりも低くなります。
六価クロムが含まれるため、RoHS規制対象物質となります。
クロメートメッキ
電気亜鉛メッキの上に有色クロメート処理を行ったもので、緑色がかった黄色から金色系の色になります。
クロム酸または重クロム酸塩を主成分とする溶液中に製品を浸漬して、防錆皮膜を生成させます。
亜鉛メッキ後のクロメート処理は、
・耐食性の向上
・白錆びの発生を防ぎ、指紋やそのほかの汚れをつきにくくする
・外観性の向上
・塗料・染料の密着性向上
などの効果があります。
建築系のネジ・金具・ボルトなどに使用されることが多くあります。
六価クロムが含まれるため、RoHS規制対象物質となります。
三価クロメートメッキ
有色クロメートと同等の耐食性がありますが、六価で発揮される自己修復性はありません。
六価クロムと異なり無害でRoHS規制に抵触しないクロメート処理となり、従来のユニクロ、クロメートの代替として利用されています。
黒色クロメート(黒亜鉛)メッキ
電気亜鉛メッキの上に硝酸銀等を含んだ液でクロメート処理を行ったメッキです。
黒系の色になりますが、主に銀が化学反応して色が出るため、色には差が出ます。
また、ネジの形状や反応にも差がでます。
黒ニッケルメッキや黒色クロムメッキに比べ安価で耐食性が高いため、外観性が求められる自動車部品や電気部品、雑貨等で広く利用されています。
三価黒色クロメートメッキ
黒色クロメートメッキは六価クロムが含まれるため、RoHS対応にするために三価クロムに置き換えたものです。
六価クロムでは発揮される自己修復性はないものの耐食性は黒亜鉛メッキと同等となります。
ブロンズメッキ
一般的に「GBメッキ」と呼ばれるものです。
銅メッキをしたあと、特殊な薬品に付けて表面を黒く染めます。
その後、研磨をして仕上げます。
装飾性の高いメッキでヴィンテージ調の金具や装飾品等多くの種類のインテリア製品に利用されています。
ニッケルメッキ
ニッケルメッキには電気メッキと無電解メッキの2種類があります。
ニッケルメッキは硬く耐食性に優れ、光沢が良いため広い用途に用いられます。
ニッケルは遷移金属のレアメタルの一種で、さびにくい性質を持っています。
大気中はもちろん、海水に対しても腐食しにくく安定しています。
このため、特殊な環境下や化学物質等への耐腐食性が求められる場面で、ニッケルメッキで金属を保護して部材の耐食性を高めます。
電気メッキ浴はワット浴、塩化浴、スルファミン酸ニッケル浴、電化アンモニウム浴があります。
クロームメッキ
下地にニッケルメッキを施し、その上からクロームメッキを施します。
下地となるニッケルメッキの耐食性の欠陥をクロームメッキによりカバーします。
重厚な光沢の仕上がりで、耐食性に優れているため、空気に触れてもあまり変色することなく、長期間の装飾性の維持が可能です。
ただし付きまわりが悪いため、メッキ完了後の製品を選別し、付きが悪い物は再度メッキを施します。
スズコバルトメッキ
通称「スズコバ」とも呼ばれるメッキで、錫とコバルトの合金メッキです。
クロームメッキがやや青みがかったような色合いをしています。
クロームメッキとよく似た色調であること、バレルによる量産メッキが可能な点、クロームメッキの排水規制が厳しいこともあり、現在では対応している業者は少なくなっています。
クロームメッキよりも柔らかく、耐摩耗性にも劣るものの、変色に強いため屋内で使用する場合にはクロームメッキとほとんど遜色がありません。
真鍮メッキ
ニッケルメッキを施した上から亜鉛と銅の合金である黄銅でメッキを施します。
色が黄色で金に似ていることから、代金メッキとも呼ばれます。
金メッキ
金属にニッケルメッキを施したあと、その上から本物の金でメッキを施します。
筋は錆びることもなく、熱や電気も良く通すため、電子部品等に利用されます。
また、上棟式用に使われる金ボルト等の装飾品等にも使われています。
美しい金色をしているのが特徴です。
銅メッキ
銅特有の色味を活かして装飾用としても利用されますが、酸化による変色を起こしやすいため、どちらかといえば下層メッキとして使用されることが多いメッキ加工です。
密着性に優れ、均一にメッキ加工ができるため、亜鉛合金、鉄等、幅広い種類の金属の下地として使用されます。
スズメッキ
スズメッキ(錫メッキ)は歴史が古く、紀元前1,500年ごろのメソポタミア北部のアッシリアで金属の腐食の防止のためにスズメッキを施していたことがわかっています。
錫はほかの金属と馴染みがよく、密着性や窒化処理への耐性の付与を目的として用いられることが多くあります。
光沢、無光沢、半光沢の3種類があり、装飾目的として用いられることもありますが、工業用メッキとしても利用されています。
どぶメッキ
高温で溶かした亜鉛に鋼材等を付けることで表面に亜鉛皮膜を形成する表面処理方法です。
電気化学作用により緻密な保護被膜を形成することで、鋼鉄面を長期間腐食から守ることができます。
コストに対して高い防食性があり、ネジ等の部材はもちろんのこと、鋼材の加工・組立て後にメッキを施すため、全体にくまなくメッキを施すこともできます。
ネジの用途に合った表面処理方法を選ぶ
ネジのメッキは種類が多く見分けることは難しいですが、メッキ方法の違いによって見た目や耐防食性等が異なります。
材質にも多くの種類があり、強度や軽さ、加工しやすさなど、それぞれに特性があります。
特殊ネジ製作の場合は、形状はもちろん、材質、表面処理の方法も多くの種類の中から選ぶことになりますので、ネジ製作メーカーに相談しながら製作すると安心です。
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