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旋盤加工の代表的な手順とNC旋盤のプログラムの手順を解説


 

金属製品の加工に欠かせない旋盤加工ですが、加工方法や切削工具により加工手順が異なります。

この記事では旋盤加工の手順のほか、NC旋盤のプログラミングから加工までの手順をご紹介します。

 

旋盤加工の代表的な手順

旋盤加工の手順は加工方法や製品により異なります。
まずは代表的な加工手順についてご紹介します。

 

工具・材料の取り付け

まず、旋盤加工に使用する材料と切削工具を取り付けます。

 

加工中に動くことのないようにしっかりと固定します。
位置決めは製品の精度を左右するため、慎重に行う必要があります。

 

荒加工

製品のおおまかな形状をつくる荒加工を行います。
材料の回転状態や切り屑の発生状態に注意して作業します。

 

仕上げ加工

荒加工した製品に仕上げ加工を施します。
仕上げ加工は高い精度が求められるため、回転数や送りの速度には注意が必要です。

 

バリが出る場合にはヤスリを使い丁寧に取り除きます。

 

加工方法別の手順

旋盤加工の代表的な加工手順が分かったところで、各加工方法の作業の流れを解説します。
ここでは特に一般的な外径加工、内径加工、穴あけ加工、突切り加工の手順をご紹介します。

 

外径加工の手順

外径加工は、回転している材料の側から切削工具を当てる加工法です。
旋盤加工では最も多く用いられており、形を大まかに削り取るときや、表面をきれいにする仕上げ加工で使われます。

 

・外径加工の手順

①材料を取り付ける
②外径バイトを取り付け、外径寸法位置に移動する
③材料を回転させる
④外径バイトを深さ方向に動かしながら削る
⑤外径バイトを材料から離す

 

内径加工の手順

内径加工は材料に穴あけ加工で開けた穴を大きく広げるように内側を削る加工方法です。
穴の大きさを広げたり、内側の表面をきれいに仕上げたりする際に採用されます。

 

・内径加工の手順

①材料を取り付ける
②内径バイトを取り付け、内径寸法位置に移動する
③材料を回転させる
④内径バイトを深さ方向に動かしながら削る
⑤内径バイトを材料から離す

 

穴あけ加工の手順

穴あけ加工は回転する材料にドリルを押し当てて穴をあける加工法です。
内径加工を行う場合、事前にバイトが入る穴が必要なため、その際に穴あけ加工を行います。

 

・穴あけ加工の手順

①材料を取り付ける
②ドリルを取り付け、材料の手前に移動する
③材料を回転させる
④ドリルを深さ方向に動かしながら削る
⑤ドリルを材料から離す

 

突切り加工の手順

突切り加工は材料の外径に切り込みを入れ、不要な部分を切り落とす加工方法です。
円柱を輪切りにしていくイメージで削ります。

 

・突切り加工の手順

①材料を取り付ける
②突切りバイトを取り付け、素材外径の当たらない位置で深さ方向の突切り寸法位置に移動する
③材料を回転させる
④油をさし、突切りバイトを外径から内径方向に動かしながら削る
⑤突切りバイト材料から離す

 

NC旋盤を使った旋盤加工の手順

NC旋盤は、旋盤加工の条件をプログラムとして作成し、機械に読み込ませることで自動加工を可能にするものです。
プログラム通りに加工を行うため、製品のクオリティを一定に保つことが可能で、量産品に向いています。

 

NCプログラムとは

NCとはNumerical Control(ニューメリカルコントロール)の略で、「数値制御」という意味です。
NC工作機械を動かすための数値と記号の組み合わせによる指令はNCプログラムと呼ばれます。

 

NCプログラムにはGコードと呼ばれる主に加工に関連した命令に使用する準備機能と、Mコードと呼ばれる主に機械を動作させる指令に使用する補助機能のような専用のコードを組み合わせて作成します。

 

NCプログラムは基本的にプログラム番号、シーケンス番号、エンドオブブロックで構成されます。
記号と番号をルールに従って羅列するため専門的な知識が必要ですが、ルールを理解すればそれほど難しくありません。

 

NCプログラミングの手順

NC旋盤で旋盤加工を行うためには事前にNCプログラムを作成する必要があります。
そのため、まずはプログラミングを行う必要があります。

 

手順は次のようになります。

・座標軸の決定

まず、原点の位置とXYZ軸の方向を決めます。
基本的に左右方向がX、前後方向がY、上下方向がZとなり、加工時にX=0.0、Y=0.0、Z=0.0となる地点が原点になります。

 

・準備指令の設定

工具の回転方向と回転数、旋盤加工中に噴射する切削油の噴射量とタイミングなど、指令の設定を行います。

 

・移動指令の入力

工具の動かし方を入力・指令します。
移動指令は、絶対値と相対値を用います。

 

・加工指令と次工程の準備指令の設定

1個の旋盤加工工程が終了したら工具の動作を終了し、次の動作順位に入るための指令を入力します。

 

・加工終了の指令

すべての加工工程が完了したら加工を終了させる指令を設定します。
すべての加工が終了し、プログラムの実行を終了する場合も同様です。

 

旋盤加工を行う

プログラムができたらいよいよ加工に入っていきます。

①切削工具を刃物台に固定する
②プログラムをコントローラに転送
③テスト稼働をして動作確認、デバッグを行う
④材料を主軸台に固定します。
⑤加工をスタートさせるとNC旋盤がプログラムに従って自動で旋盤加工を行います

 

旋盤加工の作業時の注意点

旋盤加工は操作を誤ると大きな事故につながるおそれがあります。
安全に作業を行うために、加工作業のときには次の点に注意します。

 

作業時の服装

加工時は長袖長ズボンの作業着、安全靴、保護メガネを着用します。
軍手は着用してはいけません。

 

また、工具や機械に巻き込まれないよう、作業中は正しい姿勢を保ちます。

 

立ち位置に注意する

汎用旋盤で加工する場合は、作業者の立ち位置にも注意が必要です。
機械に近い場所で加工を行う必要があるため、切り屑が飛んでくると危険です。

 

作業者は切り屑が飛んでこない位置で作業をすること、加工中の刃に顔を近づけないこと、回転している材料や部品には触れないことが大切です。

 

製品に応じて加工方法を使い分ける

旋盤加工ではさまざまな形状の製品を製作できます。
精度の高い製品を作るには適した旋盤や切削工具を使用し、正しい手順で加工を行うことが大切です。

 

また、知識を持たないまま旋盤を扱うと、製品の品質が落ちるだけでなく、工具の寿命を縮め作業中の事故につながる恐れがあります。

品質の高い加工を行うためには加工物の材質や目的に応じて適切な加工方法で作業を行う必要があります。

 

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