ねじ込み配管継手の1つとして、ニップルが広く用いられています。
ニップルにはいくつかの種類があり、目的に応じて使い分けることが可能です。
また、必要に応じて製造会社にオリジナル製品の製作を依頼することも可能です。
このページではニップルとはどんな部材か、ニップルの種類、製作の依頼の流れなどについて解説します。
ニップルとは
ニップルとは
ニップルとはパイプどうしを繋ぐ機械部品で、継手の一種です。
水道管やガス管を繋げるために必要な部材です。
ニップルは管の表面におねじがねじ切りしてあり、配管どうしを直線で繋ぎます。
ソケットと組み合わせて使用したり、配管寸法が短い間隔の時やエルボを併用して配管の方向を変えるときなど、器具の接続に利用できます。
管用テーパねじの特徴管や、管用部品、流体機器などの接合において、ネジ部の耐密性を主目的とするねじに適用されます。
ニップルの規格
ニップルのサイズや種類に関する規格はJISで
JIS B 2301「ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手」
JIS B 2302「ねじ込み式鋼管製管継手」
JIS B 2308「ステンレス鋼製ねじ込み式管継手」
と規定されています。
継手の種類
継手にはニップル以外にも数多くの種類があります。
継手の種類
・エルボ…90度に曲げる外ネジ同士の接続をする
・ブッシング…径が違う外ネジと内ネジの接続をする
・インクリーザー/レジューサー…径が異なる2つの管を接続する
・ストリートエルボ…90度に曲がる外ネジと内ネジを接続する
・キャップ…外ネジのエンドキャップに利用する
・カップリング…2つの管の直線接続に使用する
・チーズ…T字に分岐する外ネジ同士の接続をする
・プラグ…内ネジのエンドプラグとして使用する
・フランジ…パイプとパイプの接合に使用する
・クロス…四方に分岐する外ネジ同士を接続する
・ソケット…外ネジ同士の接続をする
・ヘルール…パイプとパイプの接合に使用する
・ユニオン…外ネジ同士の接続に使用する
・ニップル…内ネジ同士の接続に使用する
・伸縮継手…配管の熱膨張・熱収縮を吸収するための継手
継手のつなぎ方
「ねじ込み形」
継手にネジが切られているため、溶接のように完全に固定されることがなく、補修やメンテナンスがしやすいというメリットあります。
「溶接」
金属を高温で溶かして接続する方法です。
管と継手を一体化させることができます。
溶接方法は突合せ溶接や差し込み溶接があります。
「フランジ」
端部がフランジを対向させて、ガスケットを挟みナットとボルトで接続します。
「くい込み式」
管継手の一部が管に食い込み、抜け止めシールさせて繋ぎます。
継手の素材
「黒継手」
黒継手は可鍛製鉄で出来た継手です。
可鍛継手とは、溶融させた鋳鉄を急激に冷却し、焼き鈍し処理を施した金属です。
冷温水、冷却水、消火用水、ガス、蒸気、油など、さまざまな流体の使用が可能で幅広い分野で利用されています。
「白継手」
白継手は黒継手の表面に溶融亜鉛メッキ加工を施したものです。
メッキ加工をすることにより、黒継手と比較して耐腐食性が高い継手となります。
冷温水、冷却水、工業用水、消火用水、ガス、空気、油などさまざまな流体に利用できます。
「ステンレス継手」
ステンレス製の継手です。
ステンレスの優れた耐腐食性を活かして、工場やプラントなどの分野で広く利用されています。
「黄銅製継手」
黄銅製継手は特に水洗トイレの給水管や洗浄管などに使用され、人々の生活の身近なところで広く利用されている継手です。
ニップルの種類
バレルニップル
バレルニップルは樽の形をしたニップルのことです。
「丸ニップル」や「短ニップル」と呼ぶこともあります。
樽型の見た目をしており、胴の中央部分の2~3mmほどだけがねじ切りされていません。
クローズニップル
クローズニップルは構造はバレルニップルに似ていますが、全体すべてがねじ切りされた構造になっています。
ロングニップル
ロングニップルはねじ切りされていない胴部分が長いニップルです。
径違いニップル
径違いニップルは両端の径が異なるため、配管径を変更する場合に使用されます。
片ニップル
片側のみにおねじが付いているニップルです。
六角ニップル
胴部分に六角構造が設けられているため、工具で回しやすいニップルです。
径が50A程度になると八角ニップルが採用されます。
ホースニップル
ホースニップルは片方はおねじ、もう片方はホースを差し込むためのタケノコ構造になっています。
ネジの形状の種類
ネジ込配管には「管用平行ねじ」と「管用テーパーねじ」の2種類があります。
管用テーパーねじはねじ込みの先ほど細くなっていきます。
ニップルの場合、一般的には管用テーパーねじが採用されています。
そのため、管用平行ねじになっているニップルは「平行ニップル」と呼ばれています。
ニップルとユニオンの違い
ニップルに似た部材に「ユニオン」があります。
形状が似ていますので混同されやすいのですが、明確な違いがあります。
ニップルは「メスメス」なのに対して、ユニオンは「オスオス」となっています。
ニップルの製作方法
ニップルは代理店を通じて購入したり、ネットでも購入することができます。
しかし、既製品で対応不可の場合は機械部品の専門メーカーにオーダーで製作してもらうことができます。
オーダー品は一般的には以下のような流れで注文します。
お問合せ
まずは部品製作の会社に問い合わせをします。
機械部品の会社のホームページでは大抵の場合、お問い合わせフォームがありますので、お問合せフォームまたは電話で問い合わせるのが一般的です。
業者によってはホームページからカタログをダウンロードできるところもあります。
打ち合わせ
図面を見せながら打ち合わせをします。
寸法や材質、納期を決めます。
見積もり
打ち合わせで決定した内容で見積もりを出してもらいます。
見積もり書をもとに再度打ち合わせを行います。
契約
見積もりの内容に納得したら契約となります。
製作
オーダー品の製作が行われます。
完成・納品
製品が完成したら納品されます。
検品して問題があった場合は製造業者に連絡します。
継手の種類を知っておくと配管設計の幅も広がる
配管継手の中でもニップルについてご紹介しました。
継手やニップルは数多くの種類があり、種類を知っておくと配管設計の幅も広がります。
もちろん、オリジナルの継手を製作することも可能ですので、気になることが合ったらまずは部品の製造業者に問い合わせてみるのがおすすめです。