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ねじ製作・製造の流れと加工方法・表面処理の方法と種類を紹介

 

私たちの生活になくてはならないのが「ネジ」です。
ねじは家具はもちろん、自動車や工業製品などさまざまなところに使用されています。

 

しかし、ねじがどうやって作られているのか知らないという方が大半なのではないでしょうか。
そこで、ねじの製作の流れや加工方法などについて解説します。

 

ねじの製作工程

 

伸線

コイル状の材料を伸線機で真っ直ぐにします。

ねじの材料は高炉メーカーが作った鉄を伸線メーカーで転造素材径の線材に加工され、コイル状にされてねじ製作会社に納品されます。

 

ねじ製作会社では伸線機で材料をまっすぐに伸ばしながら、ヘッダー機へ材料を送ります。

 

頭部圧造

線材を既定の長さに切った後、ねじの頭の部分を成形する工程です。

線材の先端に圧力をかけて変形させ、頭を成形します。

 

頭部圧造には常温で材料に圧力を加えて変形させる冷間圧造が広く用いられていますが、このほかに、熱間鍛造加工、温間圧造加工、切削加工があります。

 

転造

ねじ山の部分を成形する工程です。
ねじの軸を転造盤の金型の上を圧力をかけながら転がし、ねじ山を成形します。

 

転造ダイスには「平ダイス転造方式」「丸ダイス転造方式」「プラネタリ転造方式」があります。

 

熱処理

熱処理によりねじを硬く、強度を高くします。

形状が出来上がったらねじに熱を加えたり、冷やしたりすることでねじの強度を高めたり、硬くすることができます。

 

材料の強度の良さで問題なければ熱処理は行いません。
また、素材によって熱処理を行わないこともあります。

 

表面処理

ねじをきれいに、錆びないようにする工程です。

 

ねじが錆びないよう、また、装飾的にきれいになるように、表面処理を行います。
一般的にはメッキによって表面処理をします。

 

検査

製品を検査します。

 

ねじが規格に合っているか検査を行います。
抜き取りにより検査を行う方法や、機械を使って全数検査を行う方法があります。

 

ねじ頭部の加工方法

ねじ頭部の加工方法は大きく4つあります。

 

冷間圧造加工

ボルト・ナット類のブランクを常温で塑性加工により作る加工方法です。
材料のロスも少なく、生産性が高いのが特徴です。

 

超硬合金などを使用したダイス・パンチなどの金型によって圧造成形するので均一で精度が高く均一な製品を作ることができるため広く普及しています。

 

冷間圧造のメリットは材料のロスがない点、素材が塑性変形するため強度が上がる点、金型を使用するため量産時に製品のばらつきがなく均一な製品を大量生産できる点、加工時間が短く単価が安い点です。

 

一方デメリットは、金型を使うため、立ち上げ時に初期費用と時間がかかる点、小ロットには不向きな点、切削加工と比べて精密な加工精度に対応するのが難しい点、複雑な形状の対応が難しい点です。

 

熱間鍛造加工

加熱した材料を加工する方法です。
材料を切断し、加熱炉で加熱した後に鍛造機械で塑性加工により成形します。

 

温間圧造加工

連続自動加熱装置により、材料を再結晶温度以下の中間温度である200~300度に加熱することで塑性加工性を高める手法です。

 

切削加工

自動盤、ターレット旋盤、ロクロなどを使用し、棒鋼から切削加工する方法です。
最近ではプログラム制御による自動切削が普及しています。

 

部品の形状、金型、数量、などの理由により冷間加工が困難または採算上不利な場合に採用されます。

 

ねじの表面処理の方法

ねじの表面処理の方法は用途によっていくつかの方法と種類があります。
ここでは代表的な表面処理の方法をご紹介します。

 

電気メッキ

電気メッキは電解溶液の中に入れたボルト等を通電してメッキ加工する方法です。
電気メッキは装飾以外に防錆効果や、部材の表面を硬化させたり潤滑させるなどさまざまな機能を持たせることができます。

 

「電気メッキの種類」
・銅メッキ
・ニッケルメッキ
・黒色ニッケルメッキ
・クロムメッキ
・黒色クロムメッキ
・工業用硬質クロムメッキ
・亜鉛メッキ
・金メッキ
・銀メッキ

 

無電解メッキ

電気を使用せず、メッキ液に浸すことで、均一な金属皮膜をつくる方法です。
無電解メッキは自動車のブレーキ部品やプリント基板、電子部品などに使用されています。

 

「無電解メッキの種類」
・置換メッキ
・銅鏡反応

 

溶融メッキ

溶融メッキは部材を溶かした錫やアルミ等の中に入れて付着させる方法です。
熱いメッキ層が発生し、高い防錆力が発揮される上にコストパフォーマンスが優れています。

 

塗装・コーティング

部材を塗料やコーティング剤で覆うことで酸化による錆びを防ぎます。
塗装・コーティングは自動車本体や部品、建設物などで使用されています。

 

「塗装・コーティングの種類」
・吹付塗装
・静電塗装
・浸漬塗り

 

ねじの材料となる金属と特徴

ねじの材料に使われている素材の特徴や使用される環境をご紹介します。

 

鉄は比較的安価で加工しやすいという特徴があります。

 

優れた耐摩耗性がある一方で錆びやすい、割れやすいというデメリットがあります。
また、鉄の強さや硬さは処理方法によりコントロールが可能です。

 

合金鋼と炭素鋼は特殊鋼と呼ばれていますが、特殊鋼のボルトは特殊な強さが必要な場合に使われ、ベアリングのレースやボールなどに使用されます。

 

そのほか、鉄は加工がしやすく強度が高いため、広く使用されています。

 

ステンレス

ステンレスは酸化クロムの膜が表面を覆っているため、錆びにくい材質です。
酸化クロムは化学的に安定しており、酸素を遮断することができるため、酸化鉄の発生を防ぐことができます。

 

ステンレスは錆びにくいため、水がかかりやすい場所で使用されます。

 

アルミニウム

アルミニウムは軽量の素材であり、酸化被膜に覆われている為、高い耐食性があります。
軽さが必要な航空機やスポーツの部材などに使用されています。

 

チタン

チタンは化学的に安定している物質のため人体に影響が少なく、軽量で高い強度を持っている素材です。
耐熱性も高く、酸にも強い物質ですので、海水など腐食しやすい環境で使われています。

 

樹脂

樹脂にはさまざまな種類があり、特性も異なります。
共通するのは錆びの心配がない点です。
薬品に対しても強い樹脂は耐薬品性や耐食性が求められる環境で使用されます。

 

真鍮

真鍮には銅のほか約20%以上の亜鉛が含まれており、優れた導電性と耐食性を発揮します。
真鍮は電気部品に使用されることがあり、表面処理を施して内部端子などにも使用されています。

 

ねじの製作方法は多岐にわたる

ねじの製作工程や加工法について解説しました。
私たちの生活に身近なねじですが、さまざまな加工方法があることが分かったのではないでしょうか。

 

ねじはオリジナルのねじをオーダーメードすることもできますが、製造方法の工夫によりコスト削減や大量生産も可能になっています。