サイトアイコン 株式会社有利精工

金属切断加工の7つの種類・特徴と旋盤加工の強みとは?

 

材料を切断する切断加工はその用途や素材により7種類の加工法があり、素材との相性により適切な加工の種類を選択することになります。

 

今回は7種類の切断加工の特徴について解説します。

 

切断加工とは

切断加工とは対象物を切断して成形する加工方法です。
目的や対象の金属の種類に合わせてさまざまな方法があります。

 

多くの場合、切断加工は金属加工の最初の工程で行います。

 

製品を作るときには製品の設計図や部品1つひとつの加工図面があり、加工図をもとに製作していきます。
最初の切断精度が高ければ以降に行う切削や摩耗の工程で発生する工具摩耗も少なく済みます。

 

つまり、工数面やコスト面にとって切断加工の精度の高さは重要です。

 

また、切断加工のうち、旋盤加工やフライス加工などのように最初の工程から仕上げまで加工可能な方法もあります。

 

切断加工の種類

切断加工は主に以下の7種類があります。

 

ウォータージェット切断加工

ウォータージェット切断加工は水を最高600MPa(約6,000気圧)に加圧し、直径0.1mmの小径ノズルから噴射し、高速・高密度な水のエネルギーを利用して対象物を切断加工する工法です。

 

超高圧水発生ポンプで加圧された水は、音速の約3倍にも達し、破壊力のあるウォータージェットが生まれます。

 

熱影響が少なく対象物に制限がないため、その用途は多岐にわたります。

 

ガス溶断

ガス溶断はアセチレン、水素、LPGなどの可燃性ガスが燃焼する熱を利用して部材を切断する加工法です。
同じ方法で金属どうしを溶かして接続する加工法がガス溶接となります。

 

溶断の方法は、ほかにアーク溶断、プラズマ溶断などがありますが、大きな違いとしてガス溶断は電気を使わないことです。
小さな規模の設備でも使用でき、導入費用が安く済みます。

 

ガス溶断は厚い鋼鉄の切断に用いられます。

 

ガス溶断に最適な部材の厚みは50mm程でそれ以下になるとほかの切断方法が向いています。
一方で、ステンレスやアルミニウムなどはガス溶断には不向きです。

 

旋盤加工

旋盤加工は素材を回転させながら固定した刃物に材料を当てる切断加工法です。
旋盤加工は素材を切断するだけでなく、ねじを切ったり穴を開けたりするなど、加工の種類も豊富です。

 

旋盤加工には手動で加工を行う汎用旋盤とコンピューター制御のNC旋盤があります。

 

1ミクロンレベルの高い精度で切断加工できる点、鉄やアルミ、ステンレスなどさまざまな素材に対応できる点が旋盤加工のメリットです。

回転させて加工するため、円筒形の部品を中心にさまざまな種類の製品を製作できます。

 

フライス加工

フライス加工は旋盤加工とは反対に固定した素材を回転する刃物を押し当てて削り取る切断加工です。

 

素材の平面を削り取るのに向いていて、素材を固定し、フライスを動かすことでスピーディーかつ精密に切断が可能です。

フライスの種類を変えたりエンドミルを使用したりすることで、多くの素材の切断加工を可能にします。

 

マシニングセンタ

マシニングセンタとは、回転工具を使用してフライス削りや中ぐり、穴あけ、ねじ立てといった切削加工を1台で行える工作機械です。

 

マシニングセンタには自動工具交換装置(ATC)が搭載されており、加工に必要な切削工具をツールマガジンにセットしておけばプログラムに沿って工具を自動交換してくれるのが特徴です。

 

従来のフライス盤では工具交換作業は機械稼働を停めて行う必要がありましたが、ATCにより工具交換がスピーディーに行え、生産性の向上を実現できています。

 

ワイヤーカット放電加工

ワイヤーカット放電加工は除去加工物に含まれる放電加工の1つで、真鍮などのワイヤー線に電流を流して糸鋸のように材料を溶融させながら切断する加工方法です。

 

細いワイヤーの電極と材料の間に放電を発生させて加工を行うワイヤー放電加工機を使用します。

電気伝導体であれば素材の硬さに関係なく切断でき、加工精度が高いことからミクロン単位の加工ができる点がメリットです。

 

レーザー加工

レーザー加工はレーザー光を照射して金属を溶かし、切断や穴あけ、彫刻などを施す工法です。

 

レーザー加工は虫眼鏡による熱発生原理を応用したもので、レーザー光をレンズやミラーを用いて集光させ、きわめて強いエネルギーを持ったレーザー光が熱となって材料を溶かすという仕組みになっています。

 

応力が加わらないため変形が少なく、最近では木材やゴム素材、医療現場などでレーザーカット加工が用いられるケースが増えています。

 

旋盤加工の強み

旋盤加工は材料を回転させながら材料を削り取り、狙った形状を実現する加工方法です。
加工方法と工具を組み合わせて複雑な形状を実現できるのが特徴です。

 

旋盤加工には以下のような強みがあります。

 

丸物の製品を製作できる

旋盤加工は材料を回転させながら切削するため、丸物の製品の製作に向いています。

 

精度が高い

旋盤加工は高い精度で加工ができる点が大きなメリットです。
NC旋盤であれば0.001mm単位まで正確に加工が可能です。

 

また、人の手で加工する汎用旋盤では、手作業で行いますので、製作しながら微調整を繰り返したり途中で変更や修正ができたりするため、試作品の加工に向いています。

 

大型の製品の加工も可能

旋盤加工のなかでも縦旋盤加工は、工作物の自重だけで回転テーブルに密着するため、大型の製品を安定して加工できます。
テーブルの大きさに収まる直径の工作物までが加工可能で、大きいものでは直径20mの材料も製作可能です。

 

そのため、航空エンジンや発電タービンなど、大型の部品を必要とする加工に強みがあります。

 

さまざまな素材に対応できる

汎用旋盤は、鉄、ステンレス、銅、アルミ、樹脂などさまざまな材料の加工が可能です。
焼き入れが施されて硬度が上がっている材料に対しても、加工方法によっては旋盤加工を施せます。

 

切断加工は素材や用途に合わせて加工法を選択する

切断加工の種類と特徴、切断加工だけでなくさまざまな金属加工が可能な旋盤加工の強みについてご紹介しました。

 

切断加工には主に7種類の加工法があります。

 

それぞれ特徴があり、すべてに適用できる万能な加工法は存在しないため、素材の種類や加工の目的により、適した切断の方法を選択する必要があります。

 

切断加工の種類によって注意点は異なりますので、加工を依頼したい場合はメーカーに相談して加工法を決めていくと確実です。