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旋盤加工の加工精度とは!?加工精度に影響する要因・切削条件

 

旋盤加工をはじめとした切削加工では、高い精度で加工が可能なため、幅広い製品で用いられています。

ところで、加工精度とは一体どのようなものなのでしょうか?

 

この記事では、切削加工の加工精度や影響する要因、旋盤加工の精度に影響する切削条件や、加工方法の種類について解説します。

 

加工精度とは

加工精度は工作精度とも言い、加工後の工作物の品質レベルを示す尺度です。
加工精度には寸法精度、幾何学的形状精度、表面粗さなどがあります。

 

寸法精度は長さや直径などの大きさの精度で、ある公差内に寸法が収まっていることが要求され、JISにはその公差等級が規定されています。

 

幾何学的形状精度は理想的な形状からのずれによって評価され、JISには真円度、円筒度など14項目が規定されています。

 

表面粗さは表面の滑らかさを評価するもので、中心線平均粗さ、算術平均粗さ、十点平均粗さ、最大高さなどがあります。

 

精度は寸法測定の機器を用いて測定します。
マイクロメーターや3次元測定器など、さまざまな測定方法が存在します。

 

寸法の単位は「mm」や「μ」で表します。
加工精度は金属加工を行うメーカーにより異なり、一般的に±0.01mmまでの加工が可能です。

 

切削加工の精度に影響する要因

高い精度を求める切削加工では、少しの条件の違いで製品に影響を及ぼす場合があります。
主に熱や振動、設備が要因で加工精度に影響が出る傾向があります。

 

熱変動は加工精度に大きく影響します。

 

熱で素材が膨張し、加工後に冷えると加工時の寸法よりも小さくなる傾向があります。
そのため、熱による大きさの変化には十分な注意が必要です。

 

振動

振動も加工精度に影響を及ぼします。
そのため、工作機械の設置場所はコンクリートを敷き詰めるなどして対策します。

 

切粉

切削加工に付き物となるのが切粉(きりこ)です。
切粉はうまく排出できないと加工不良に繋がるため適切な対策が必要です。

 

工具やワークに切粉が巻き付いて製品を傷つけたり、ワーク交換時に切粉を噛み込んで加工不良が発生するなど、加工精度に影響を及ぼす可能性があります。

 

旋盤加工は高い加工精度が特徴

旋盤加工の特徴の1つに加工精度が高い点が挙げられます。
NC旋盤では0.01mm単位で高精度な加工が可能です。

 

このため、旋盤加工では寸法精度だけでなく面粗度の調整も可能です。

 

旋盤加工の切削条件

旋盤加工を高精度に行うには、材質や削りたい形状に適した切削条件で加工を行う必要があります。

 

切削条件は拮抗する関係性もあるため、すべてを100%にするのは不可能です。
優先順位やバランスを考えて切削条件を設定することが大切です。

 

切削速度

切削速度とは1分間に材料を切削する速さを表します。
1分間のうちに刃が材料を進んだ距離で表され、旋盤加工の場合は、材料が1回転すると材料の円周分バイトが進んだことになります。

 

切削速度を上げると作業時間が短縮でき仕上がりもきれいになりますが、切削熱が上昇しやすくなり切削工具の耐用年数を短くします。
一方、切削速度が遅すぎると加工面が粗くなり加工精度が落ちます。

 

回転数

回転数は旋盤の主軸が1分間に何回転するかを表します。

回転数が大きいほど、切削速度が上がり、回転数が小さいほど切削速度が遅くなります。

 

送り速度(送り量)

1分間に切削工具が移動する速度を表します。
送り速度の表記にはいくつか種類があり、種類によって表す単位が異なりますので注意が必要です。

 

送り量が大きいほど加工精度が低く、切削工具への負担が大きくなる一方で、加工時間は短くなります。
送り量が小さいほど加工精度は良く、切削工具への負担が小さくなる一方で、加工時間が長くなります。

 

切り込み量

切り込み量とは、刃物が加工物に切り込む深さのことです。

 

切り込み量が深すぎると「ビビリ」というたわみによる振動が発生する現象が起こりやすくなります。
反対に、切り込み量が浅すぎると「スリップ現象」「こすり減少」という表面を滑ってしまう現象が起こりやすくなります。

 

切り込みは工具の素材や材料にも左右されるため、少なめの切り込みから少しずつ増やしていくことが重要です。

 

旋盤加工の加工方法

旋盤加工には「外径加工」「内径加工」「ねじ切り加工」「突切り加工」「穴あけ加工」の5種類の基本的な加工方法があります。

 

外径加工

外径加工は回転している材料の外側から切削工具を当てる加工方法で、旋盤加工のなかでは最も多く用いられています。

加工初期の段階で材料をある程度の形状まで削るときや、表面を綺麗に仕上げる仕上げ加工で用いられます。

 

内径加工

穴あけ加工で開けた穴を広げるように材料の内側を削っていきます。
穴の大きさを調整したり、内側の表面をきれいに仕上げるときに用いられます。

 

ねじ切り加工

ねじ切り加工は、ねじのピッチを切る加工です。

 

フライス加工やマシニングセンタの場合には雄ねじしか切れない場合が多いですが、旋盤加工では雄ねじと雌ねじの両方を加工できる点が大きな特徴です。

 

突切り加工

突っ切り加工は、円柱を輪切りにするイメージで、材料の不要な部分を切り落とす加工です。

細かい刃の工具を使用し、振動や音を確認しながら作業するため、一定の技術が必要となります。

 

加工精度を高めるには、しなりやすい刃を使用したり、加工の際に油を使用するなどの対策が必要です。

 

穴あけ加工

穴あけ加工は、ドリルで材料に穴をあける加工方法です。

 

内径加工を行う前には、工具が入るように下穴を開けておく必要があります。
このときに、穴あけ加工を行います。

 

穴あけ加工は精度はそれほど高くないため、穴の仕上げやサイズ調整は内径加工で行うのが一般的です。

 

品質管理がしっかりとしたメーカーに依頼する

旋盤加工をはじめとした切削加工では、些細なことで加工精度に影響が出ます。

 

そのため、加工を行う際には機械や工具の管理や温度管理などが欠かせません。
また、材料や製品に合った切削条件を設定する必要があります。

 

品質管理をきちんと行っているメーカーでは製品検査をしっかりと行い、製品のチェックを行っています。

 

加工精度の高い製品を依頼したいと考えている場合は精度の高い加工技術はもちろん、品質管理をしっかりと行っているメーカーに依頼することがポイントです。