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六角ボルトとは?特徴・種類・締め付け方法とねじ山の加工方法

 

六角ボルトは、部品を締め付け固定するためのおねじの中でも特に一般的なものですが、日常的に使用するものから自動車部品や船舶などに用いるものまでさまざまな種類があります。

 

この記事では、六角ボルトの特徴や締め付け方法の違い、ボルトの加工方法の種類について解説します。

 

六角ボルトの特徴

一般的にナットと一緒に使われるおねじのことをボルトと呼んでいます。
その中でも代表的なものが六角ボルトで、正六角形の頭をしており、レンチやスパナなどを使って締め付けます。

 

六角ボルトはすり割りや十字穴のネジよりも強く締め付けることができるという特徴があります。

 

全ネジと半ネジ

六角ボルトなど、ねじには「全ネジ」と「半ネジ」があります。

 

全ネジは頭部以下がすべてネジ部になっているボルトで、半ネジは一部がねじになっていないボルトを指します。
全長が短いネジは基本的に全ネジのみですが、全長が長いねじでは全ネジと半ネジが存在します。

 

六角ボルトの注文では、全ネジと半ネジを間違えやすいので注意が必要です。
全ネジ、半ネジ共に規格品となりますので、ねじを注文する際にはよく確認して注文することが大切です。

 

ボルトの締め付け方法

ボルトをはじめとしたねじ部品を締め付ける場合は、寸法形状、締め付け対象となる機器構造物の種類、軸力の精度、作業性などを考慮して締め付け方法が決められます。

 

主な締め付け方法として、トルク法、トルク勾配法、回転角法、張力法、熱膨張法があります。

 

トルク法

トルクレンチやスパナで締め付ける方法で、作業性が良く最も広く使用されている基本的な締め付け方法です。

トルク法は工具を使って人力で行うほか、油圧、空気圧、電動などにより締め付ける方法もあります。

 

トルク勾配法

トルク法の一種で、締め付けた際にねじ部品の谷底に発生する塑性変形により、ナット回転角に対してトルクの変化率が小さくなることを利用した方法です。

 

トルク法と比べ、締め付け精度が高いのが特徴ですが、専用工具が必要です。

 

回転角法

回転角をコントロールすることでボルトに目標軸力を与える方法で、トルクをボルトの頭部に与えて締め付けます。

 

「弾性域回転角法」と「塑性域回転角法」があり、弾性域回転角法は船舶関連の重要部品等に使用され、塑性域回転角法は締結部の小型軽量化が実現できることから自動車産業などで活用されています。

 

張力法

油圧ボルトテンショナーを使い、ボルトに引張力を与えて締め付けます。

 

接触面の摩擦係数の影響がほぼないことから、原子力関連機器、圧力容器、ディーゼル機関の重要部品など、高い締め付け精度が求められる部分を中心に活用されています。

 

一方で、薄板の締結には向かないこと、剛性が低く、剛性を高い精度で評価することが困難な材料が締結部に挿入されている場合は締付精度が著しく低下する可能性がある、という点では注意が必要です。

 

熱膨張法

熱膨張法は、締結部に装着した中空ボルトにヒーターを挿入して加熱し、軸方向伸びを発生させます。
この状態でナットを回転させて着座させたあと、冷却による収縮をする締め付け方法です。

 

加熱方法には最近、高周波を利用したヒーターが出ており、加熱時間の短縮が実現できています。

 

ボルトのねじ切り加工の方法

ねじ切り加工とは素材にねじ山を作る加工です。
ボルトではおねじのねじ切り加工とめねじのねじ切り加工を行います。

 

・おねじ…外周側にねじ切り加工をしたねじ
・めねじ…内周側にねじ切り加工をしたねじ

 

ねじ切り加工の方法には主に4つの方法があり、ボルトの素材や用途などにより加工方法を使い分けます。

 

タップ・ダイスによる加工

ねじ山と同じ凹凸が設けられたタップとダイスを材料に固定し、回転させてねじを切ります。
タップはめねじを切るための工具で、ダイスはおねじを切るための工具です。

 

シンプルで手軽な加工方法ですが、基本的に手作業で加工を行うため、加工に時間がかかるうえ、作業者の技術レベルによって品質にばらつきがでやすいため、量産加工には向いていません。

 

旋盤による加工

旋盤は高速回転させた素材にバイト(刃物)を押し付けて切削を行う加工法です。
旋盤加工ではおねじ切りバイト、めねじ切りバイトをそれぞれ使い、素材をねじ切り加工します。

 

タップ・ダイス加工よりも品質にばらつきが起こりにくく、NC旋盤を用いれば量産が可能です。

 

ねじ切り盤による加工

ねじ切り盤はねじ切り加工に特化した工作機械です。
特に大型のねじを加工する際に用いられ、輸送機の部品やアンカーボルトの加工などで多く利用されます。

 

転造による加工

転造は素材に圧力を加えて回転させながら素材を加工する方法です。
転造は切削を行わないため、加工時に切り屑が発生せず、加工精度が高く量産に向いているのも特徴です。

 

ただし、素材は展延性が高く柔らかい素材が向いています。

 

ボルトの表面加工の種類

電気メッキ

電界溶液中で材料を陰極として通電し、表面にメッキ金属を摘出させる方法です。
比較的安価に加工できるため、装飾、防錆など、さまざまな分野で活用されています。

 

・銅メッキ
・ニッケルメッキ
・黒色ニッケルメッキ
・クロムメッキ
・黒色クロムメッキ
・工業用硬質クロムメッキ
・亜鉛メッキ
・金メッキ
・銀メッキ

 

化成処理

金属を溶液に浸漬し、表面に金属塩被膜を表示させる処理です。
化成処理により、着色被膜を得ることを化成着色と言います。

 

・クロメート処理
・黒染め

 

溶融メッキ

亜鉛、錫、アルミ等の金属を溶融した中に金属を入れて付着させる方法です。
メッキ層が厚く防錆力が強いのが特徴で、屋外金物、海岸地区等に用いられます。

 

ドブメッキ、天ぷらメッキとも呼ばれます。

 

ボルトの基礎知識をしっているとオーダーもスムーズ

六角ボルトとはどのようなねじなのか、締め付け方法、加工方法の種類についてご紹介しました。

 

六角ボルトと一口に言っても、種類や加工方法もさまざまありますので、事前に基本的な知識を知っているとねじメーカーに加工を依頼する際もスムーズです。

 

ただ、何も分からなくても、ねじメーカーに相談すればヒアリングの上細かい要望を叶えたボルトを製作することが可能です。
ねじオーダーに関して不明な点があればまずはネジ製作会社に問い合わせしてみることをおすすめします。