旋盤加工は金属加工において、なくてはならない加工方法です。
部品メーカーや金属加工メーカーでは、旋盤加工のスキルを持った人が活躍しています。
旋盤加工は資格がなくても仕事ができますが、一定の資格を持っていると技術力の証明となり就職にも有利になります。
そこで、旋盤加工の資格である「機械加工技能士」の資格概要や、そのほかの金属加工に関連する資格をご紹介します。
旋盤工の仕事内容
旋盤工とは工場で旋盤を使い、金属などを切削加工する職人・作業員のことです。
金型メーカーや部品メーカーなどで旋盤を操作して金属素材に穴を開けたりねじ切りをして、素材の内側や外側を削って加工するのが主な仕事です。
加工した素材はボルトやねじ、機械部品などとなり、自動車や精密機械など、あらゆる製品に利用されます。
旋盤工が取り扱う旋盤の種類は制御方式により大きく汎用旋盤とNC旋盤の2つがあります。
汎用旋盤では職人が経験と技術に基づいて手作業で加工する方式です。
一方、NC旋盤は、コンピューター制御によりあらかじめプログラムされたとおりに素材を加工する方式です。
つまり、汎用旋盤とNC旋盤とでは同じ旋盤工でも仕事内容が大きく異なります。
旋盤加工は資格がなくてもできる
旋盤加工に特別な資格はありませんので、特に資格がなくても作業に従事できます。
しかし、機械加工技能士の資格があると、どの程度の旋盤加工に技術を持っているのかを証明できますので、旋盤加工の仕事を探すうえで有利になります。
旋盤加工は機械加工技能士の資格があると役に立つ
機械加工技能士の資格概要
機械加工技能士は、切削・研削によって金属の形状を加工する技能を認定する国家資格です。
資格区分は、特級、1級、2級、3級があり、等級、作業の種類により資格の実施年度と日程が異なります。
受験資格
機械加工技能士は受験する級によって受験資格が異なり、3級以外は実務経験が必要となります。
3級…不問
2級…実務経験2年以上
1級…実務経験7年以上
特級…1級合格者で5年以上の実務経験者
2級は学歴によって実務経験が不要になる場合があります。
また1級は学歴により必要な実務経験年数が変わります。
実技試験の作業内容
試験は学科試験と実技試験に分かれています。
学科試験は共通科目と選択科目で構成され、実技科目は選択科目となっており、受験したい分野に関する作業を選択します。
実技試験の作業科目は以下となります。
・3級
普通旋盤作業
数値制御旋盤作業
フライス盤作業
平面研削盤作業
マシニングセンタ作業
・2級・1級
普通旋盤作業
数値制御旋盤作業
フライス盤作業
数値制御フライス盤作業
平面研削盤作業
円筒研削盤作業
心無し研削盤作業
ボブ盤作業
マシニングセンタ作業
NC旋盤加工に必要なのは数値制御旋盤
機械加工技能士試験のなかでNC旋盤に関連するのは「数値制御旋盤作業」です。
数値制御旋盤作業では、切削加工に加えてプログラムの作成や入力、チェック作業なども認定します。
2級以上では、部品製作だけでなく加工工程やプログラミングの知識を問う計画立案等作業も評価されます。
NC旋盤を使った旋盤加工に従事する人は数値制御旋盤作業を受験しておくと仕事に役立ちます。
機械加工技能士の合格率
機械加工技能士の合格率は以下となります。
2級以上はやや難易度が上がりますが、しっかりと対策しておけば十分合格できる資格であると言えます。
3級…70.2%
2級…57.7%
1級…57%
特級…43.8%
その他の金属加工で役立つ資格
金属加工は旋盤加工以外にもさまざまな加工方法があります。
金属加工を業務として行う場合、次のような資格が必要です。
めっき技能士
材料の表面に金属の薄膜を被覆するメッキは非常に身近な技術で、身の回りにもメッキ製品は多く存在します。
めっき技能士はメッキで表面加工する際に必要な国家資格で、電流を用いた「電気めっき作業」と溶かした亜鉛に鋼材を浸して作る「溶融亜鉛めっき作業」に区分されます。
電気めっき作業(1級・2級・3級)
溶融亜鉛めっき作業(1級・2級)
めっき技能検定の合格者には職業訓練指導員試験の一部・全部受験免除、作業環境測定士試験の受験資格などの特典があります。
溶接技能者
溶接技能者は溶接の仕事をするうえで必要な資格です。
DIYで溶接をする分には資格の取得は求められませんが、会社が仕事として溶接に従事させるのであれば労働安全衛生法で所定の特別教育を受講させなければならないと決められています。
溶接技能者は溶接方法と材料により資格が細分化されており、自分が従事する仕事に合わせて必要な資格を取得していくことになります。
溶接技能者の資格には
「アーク溶接」「ガス溶接」「半自動溶接」「ステンレス鋼溶接」「チタン溶接」「プラスチック溶接」「銀ろう付」「隅肉溶接」「石油工業溶接」「基礎杭溶接」
があります。
溶接管理技術者
溶接管理技術者は溶接技術に関する技術知識と施工、管理に関する職務能力を持った技術者です。
工場認定あるいは官公庁における工事発注の際の必須条件として認証者保有または常駐を要求されています。
溶接に関する資格は数多くあるなかで、特に取得が難しいと言われているのがこの溶接管理技術者です。
溶接管理技術者には2級と1級、特別級の3段階があります。
すべての級で資格の有効期限を5年としており、有効期間内に再認証審査を受けることで更新できます。
1級の試験では筆記と口述の2種類があり、口述試験については十分な責任能力知識や職を有することが認められると合格基準を満たせます。
工場板金技能士
自動車のボディやエアコン、テレビなど、身の回りには多くの板金と呼ばれる薄い金属の板で作られた部品が使用されています。
工場板金技能士は手作業や加工機械によって金属板を加工するための国家資格です。
資格は3級、2級、1級、特級があり、3級は受験資格が設けられていませんので誰でも受験できます。
試験は学科試験と実技試験に分かれており、1級、2級では加工に関する専門的な内容が多く、学科では材料の特性や製図に関する問題、安全に関わる問題が出題されます。
実技では、「曲げ板金作業」「打ち出し板金作業」「機械板金作業」「数値制御タレットパンチプレス板金作業」の4つの工法から選択します。
旋盤加工は資格の取得で活躍の場が広がる
旋盤加工をはじめとした金属加工では多くの資格が存在します。
なかには資格がなければ業務に従事できないものもありますので、業務内容に応じて資格の取得が必要になります。
旋盤加工は資格がなくても作業はできますが、機械加工技能士を取得していると自分の技術を具体的に証明できます。
金属加工業での活躍の場を広げるためにも資格の取得は有利であると言えます。